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最小侵襲(MI)治療
最小侵襲(MI)治療とは
最小侵襲(MI)治療とは、可能な限り歯への侵襲を抑えた治療をおこなうという、
歯科医療の新しい考え方です。
従来のむし歯治療では、むし歯部分を削って詰め物をする対症療法が中心でした。しかし、歯科医療の進歩により、むし歯の根本原因を見直し、フッ素塗布や適切な歯みがきによる再石灰化の促進など、歯への侵襲を最小限に抑える治療方法が生まれました。
この治療法が生まれた背景には、「むし歯という病気に対する理解が不十分だった」ことが挙げられます。最小侵襲治療は、かけがえのない天然歯を保存し守り続けるために重要な役割を果たします。
再発予防としての側面
最小侵襲(MI)治療には、再発予防としての重要な側面があります。従来の治療では、むし歯を削って詰め物をした後、詰め物と歯の継ぎ目に歯垢(プラーク)が溜まり、むし歯が再発するケースがありました。
これが「むし歯の治療」→「むし歯の再発」→「より大がかりな治療」という負のサイクルを生み出していました。最小侵襲(MI)治療は、このサイクルを断ち切る役割も果たします。
「治療」と「修復」の違い
詰め物や被せ物を入れることは「治療」ではなく、あくまで「修復」です。
むし歯や歯周病の本質は、形が壊れることではなく、形が壊れるに至ったメカニズムにあります。
最小侵襲(MI)治療では、単なる形の修復だけでなく、病気の原因の根本的な改善を重視します。
欠損補綴における最小侵襲(MI)治療の考え方
最小侵襲(MI)治療の考え方は、歯を失った場合の治療(欠損補綴)にも適用されます。
むし歯や歯周病などの病気で歯を失った時、必ずしもブリッジ、入れ歯、インプラントなどの人工歯を入れる必要はありません。
歯を失ったのは「病気の結果」であって、「病気そのもの」ではないからです。
歯を失ったことで「喋りにくい」「ものがよく噛めない」などの機能障害がある場合は、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどの治療が必要となります。しかし、そうした機能障害がなく、見た目も気にならない場合は、そのままにしておくことも選択肢の1つです。
ただし、多数歯欠損を放置していると、残存歯や顎の関節・筋肉に過度な負担がかかることがあります。
こうした場合には治療を検討する必要があります。
患者さんが望まれるライフスタイル、また口腔内の状態によっても「治療の適切なゴール」は異なります。
歯を失ったことでQOL(生活の質)が低下しておらず、さらに治療のゴールを「見た目」ではなく「QOLの維持」に置くのであれば、費用をかけたり、お体に負担をかけたりしてまで、欠損補綴治療を選択する必要はないと考えられます。
歯列不整における最小侵襲(MI)治療の考え方
歯列不整に対しても、最小侵襲の考え方が適用されます。
歯列不整は遺伝的な要因により起こるというイメージが強いのですが、実はそれ以外にも、環境的な要因によって起こる場合もあります。
環境的要因としては、次のようなものがあります。
- 口呼吸
- 指吸い
- 唇を噛む習慣
- 頬杖をつく習慣
これらの習慣により、歯列に加わる力のバランスが崩れて、歯列の形が乱れてしまうことがあります。
最小侵襲(MI)治療のアプローチ
- 歯列不整が起こる前に、悪習慣を特定し、改善することで歯列不整を予防します。
- 定期的なチェックにより、歯列不整の兆候を早期に発見します。早期であれば、矯正装置などを用いた大がかりな治療ではなく、可能な限り簡単な方法で修正できる場合があります。
- 定期メインテナンスにより歯の成長過程を診続けたり、口腔内の各種データを取り続けたりすることで、歯列不整の進行を監視し、適切なタイミングで介入します。
最小侵襲(MI)治療をおこなうためには、
継続的かつ定期的なメインテナンスが重要
時間の経過に合わせて口腔内の状態をチェックすることで、歯列不整だけでなく、むし歯や歯周病などの病気の予防や早期発見にもつながります。最小侵襲治療の考え方は、単に歯を削らないというだけでなく、患者さんの口腔内の状態を総合的に評価し、必要最小限の介入で最大の効果を得ることを目指すものなのです。